🟣日本に生息していたワニとは?
●大阪大学総合学術博物館に展示されているマチカネワニのレプリカ。実物は同館3階にて展示されている↓
更新世(ミンデル氷期-リス間氷期頃、30-50万年前頃)に日本に生息していたワニ。
全長約7 m(メートル)の大型のワニである。
和名: 待兼鰐 (マチカネワニ)
学名:Toyotamaphimeia machikanensis (トヨタマヒメイア・マチカネンシス)
青木良輔により、1983年、マレーガビアル属ではなく新属のワニであることが示唆され、古事記に登場しワニに化したと伝えられる豊玉姫にちなんだ属名を冠した学名 Toyotamaphimeia machikanensis (トヨタマヒメイア・マチカネンシス)と命名された。
●「奇跡の古代ワニ・マチカネワニ化石」(ロングバージョン)
●↓ マチカネ・ワニの化石は、1964年に大阪府豊中市柴原の待兼山丘陵に位置する大阪大学豊中キャンパスの理学部で新校舎建設現場から産出した。
発見の発端は1964年5月3日、偶然、大阪層群の化石の採取に来ていた高校生、人見功と大原健二が道路側溝を作るために掘り上げられていた土の中から脊椎動物の肋骨破片を発見したことである。
発見された化石はすぐに大阪市立自然史博物館の千地万造に持ち込まれた。
同年5月10日、千地万造と大阪大学教養学部地学教室の小畠信夫と中世古幸次郎、大阪市立大学理学部地学教室の池辺展生らによって現地調査が行われた。
このとき、大阪層群上部の地層中のものであることが確認され、大腿骨破片などの骨片が採集されたがワニ化石であることは未だわかっていなかった。
●近縁のマレーガビアル ↓
●発見当初は、本種は頭骨の特徴が現生のマレーガビアル属と類似している(鼻吻部が異常に長く狭いこと、鼻骨が外鼻孔まで届かず楔状であること、前上顎骨は片側5本、上顎骨は片側16本と上顎の歯式が同じことなど)ことからマレーガビアル属の新種とされた。
亀井節夫、松本英二により出土した地名(待兼山)にちなんで1965年9月、和名はマチカネワニ、学名はTomistoma machikanense(トミストマ・マチカネンセ)と命名された。
それから18年後、青木良輔により再研究され、1983年、マレーガビアル属ではなく新属のワニであることが示唆され、古事記に登場しワニに化したと伝えられる豊玉姫にちなんだ属名を冠した学名 Toyotamaphimeia machikanensis (トヨタマヒメイア・マチカネンシス)と命名された。
青木は関節骨後突起が分類上重要なことを指摘し、マレーガビアル属よりもクロコダイル属に近いと提唱した。
この論文を出版した「Copeia」は国際的な爬虫類学の学術誌だったため、Toyotamaphimeiaの名が世界中に浸透し、その重要性が確認された。
その後世界でワニの新たな研究が進んだため、大阪大学、北海道大学、国立科学博物館による共同研究が始まり、2006年に本種はトミストマ亜科 Tomistominae に属することが支持され、その中でも進化したものであることが報告された。
そのため現生種ではマレーガビアル Tomistoma schlegelii に近縁であることが解明された。
この結果はKobatake et al. (1965)と整合性を持つ。また、本亜科の種はヨーロッパ大陸に発生し、そこからアメリカ大陸やアフリカ大陸に移動し、少なくとも40万年前にはマチカネワニやマレーガビアルのようにアジアに移動し生息していたことがわかった。
なお、DNAシークエンシングを用いた分子系統解析では、マレーガビアルが実際にはインドガビアル上科インドガビアル科に属することが示されている。
これにより、近縁なトミストマ亜科が全てインドガビアル科に位置付けられ、それに伴ってマチカネワニもその系統的位置の解釈が変更された。
2018年には Lee と Yates により形態情報・分子情報・層序を用いた系統解析が発表され、トミストマ亜科は側系統群であることが示唆された。ここでもマチカネワニはインドガビアル科に位置付けられている。
●古事記の中で豊玉姫が化したヤヒロワニは全長8ヒロ(14.4m)。 マチカネワニの約2倍。
🟣香川県のワニ信仰1-11
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